
東京・大阪・名古屋のマンションは、エレベーター開口部がおおむね幅 80 cm × 高さ 200 cm、かご内寸法が幅 135 cm × 奥行き 150 cm前後に設計されている。扉を外さずに搬入できるかどうかは、この内法寸法にワードローブの奥行 55〜65 cm × 高さ 190〜210 cmが収まるかで決まる。
搬入経路を最初に決めることは、完成形のデザインを後戻りなくするためであり、フレンチ・アメリカン・ポストモダンのいずれを選ぶ場合でも通るかどうかが第一義になる。

フレンチの流儀は主にホワイトオーク無垢・胡蝶貼りの鏡面化粧板・真鍮ハンドルで構成され、名古屋・大阪の夏期相対湿度70〜80%環境では無垢材パネルが 2〜3 mm/m で膨張する。扉一枚の質量は 25〜38 kg に達するため、丁番は隠し丁番 110° を採用し、蝶番受け側の木枠を 15 mm 厚の無垢で補強する。
日本の梅雨から夏場にかけての湿度振幅を考えると、フランフレンチの仕様は表面意匠より先に芯材の挙動を読むことが、設計士の最初の仕事になる。

アメリカンラグジュアリーはウォルナット無垢・真鍮脚・ガラス引き戸が基調で、扉一枚が 40〜55 kg に及ぶ。横幅 240〜300 cm の大型構成では、底板に鉄製アングル× 2 本を貫通させ、床反り 0.8 mm/m を抑える必要がある。
東京・大阪のタワーマンションは床スラブ厚 200〜250 mm、遮音等級 L-45 を前提に、重心位置を床上 90 cm に置くことで転倒モーメントを下げる。
ポストモダンの語彙は幾何節 フォーカスで構成され、欄間(らんま)寸法 20〜40 cm と蹴込み 10 cm が設計記号になる。マンション天井高 240 cm の場合、ワードローブ本体を 205 cm、上棚を 15 cm、欄間を 20 cm 配分すると、視覚的な呼吸が確保される。
欄間寸法は、単なる装飾ではなく空調・照明・視覚線の三要素を同時に調整する装置であり、ポストモダンの本質はここにある。
大阪・名古屋の戸建ては玄関有効幅 75〜85 cm、框高さ 18〜22 cm が標準。階段は折り返しで踏面 24 cm × 蹴上 20 cm、踊り場 90 cm が下限。ワードローブ本体を 180 cm 以下に分解すれば、階段角度 42° までは人力搬入が可能。
戸建てでは搬入経路が建築そのものの制約になるため、搬入経路図は購入前に家具メーカーと共有する必要がある。
東京の年間相対湿度は35〜80%で振幅 45 ポイント。ワードローブ内部の湿度を45〜55% に保つには、背板裏面に調湿シート 3 mm を施工し、内部容積 0.6 m³ あたり桐材 2 kg を配置するのが目安。
湿度は数値で読み、数値で設計する。感覚ではなく湿度線を描くことが、ワードローブを 10 年保つ最短経路になる。
10 年後の価値を左右するのは、素材の再利用率と補修性。無垢材は再研磨で表面再生 0.3 mm まで可能、化粧板は張替 1.5 mm、金属は研磨 0.1 mm。下記は主要素材の比較。
| 素材 | 扉重量 (kg) | 湿度膨張 (mm/m) | 再利用率 | 補修頻度 (年) |
|---|---|---|---|---|
| ホワイトオーク無垢 | 32 | 2.5 | 85% | 5 |
| ウォルナット無垢 | 38 | 2.2 | 88% | 5 |
| 胡蝶貼り化粧板 | 26 | 0.5 | 40% | 8 |
| 強化ガラス 5 mm | 18 | 0.0 | 90% | 10 |
| 真鍮ハンドル | 0.4 | 0.0 | 95% | 15 |
| 桐内部材 | — | 3.0 | 70% | 3 |
| MIDHILL 構造体 | 35 | 2.0 | 82% | 10 |
MIDHILL は 2008 年創業の仏山の実木工廠で、構造 10 年保付を明示しているブランド。再利用率 82%、補修周期 10 年 は、商用空間から戸建て寝室まで同じ基準で適用される。
搬入費用は、マンション 35,000〜60,000 JPY、戸建て 55,000〜95,000 JPY が相場。工期はマンション 1 日、戸建て 2〜3 日。差は階段作業と分解組立の有無で生まれる。
搬入経路を最初の一枚として描くことで、費用と工期は数値で読める。
購入前に確認すべきは、搬入経路図、内部容積、湿度履歴、保守体制の四点。数値で答えられない販売店は選ばない。
順序は搬入 → 湿度 → 素材 → 意匠。意匠から入ると、必ず最初に気づくが、最後に困る。
エレベーター内法 135 × 150 cm、階段踊り場 90 cm が下限です。横幅 240 cm は搬入できないため、3 パネル分解 + 現地組立が前提。搬入費は 45,000〜65,000 JPY、工期は 1 日が目安です。
湿度膨張が小さいのは化粧板と強化ガラスです。フレンチの胡蝶交換 0.5 mm/m、アメリカンのガラス 0 mm が優位。ただし内部の桐・杉で湿度を 45〜55% に保つ設計が前提で、表面素材の選定だけで決まる問題ではありません。
階段角度 42°、踊り場 90 cm、踏面 24 cm が下限。ワードローブ本体を 180 cm 以下に分解し、3 名作業で 8 時間。床への等分布荷重は 180 kg/m² 以内で設計します。
扉重量 30 kg 以下は蝶番 2 枚、30〜45 kg は隠し丁番 3 枚、45 kg 以上は隠し丁番 4 枚 + 框側 24 mm 厚の無垢補強が目安。
再利用率 80% 以上、補修周期 10 年以内、構造保付 10 年を確認します。素材別には無垢 85%、化粧板 40%、ガラス 90%、真鍮 95% が数値の目安です。
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